「デイゴラグビースクール」設立。
本当におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。

私は、埼玉県熊谷市にある女性だけのセブンズラグビーのクラブチームである「ARUKAS QUEEN KUMAGAYA」でヘッドコーチをしている宮崎善幸と申します。

デイゴラグビースクールの代表である銘苅信吾さんとの出会いは彼の母校である国際武道大学でした。私が国際武道大学ラグビー部のヘッドコーチをやらせていただいている時の選手が銘苅さんです。銘苅さんは身体が小さかったですが、激しいコンタクトとスマートなアタックを武器にする選手でした。決して多くを語る選手ではありませんでしたが、「ここぞ!」という時にチームにとって大切な言葉を、その瞬間を逃さずに勇気を持って伝えることができる選手でした。

そんな銘苅さんがコーチとしてのキャリアを積み、この度、自分自身が代表を務めるクラブチームを設立したことは本当に楽しみでとても嬉しく思っております。ラグビーというスポーツは「前にボールを投げずに前に進む」という理不尽な競技です。そして生身の身体で本気でぶつかり合いながら、1個のボールを15人で協力して前に運ぶスポーツです。ゲーム中に生まれる様々な困難をコミュニケーションとりながら解決していき勝敗を争います。試合終了後には「ノーサイド」という敵味方が関係なく、お互いを尊敬しあう文化もあります。ラグビーの価値は「人間の根底にある強さ・優しさ」を自然に学ぶことができることだと思っています。

人生には様々な困難があります。一番辛い時に人に矢印を向けずに自分に矢印を向けて逆境を乗り越えられるか?自分より弱い立場の人たちに、自分のできることを瞬時に考え、行動を起こすことができるか?そんな人生の中で起こる大切なことを学ぶことができるのが今回、名護市に発足した「デイゴラグビースクール」です。

なぜならば、それこそが銘苅信吾さんのポリシーだからです。ラグビーを通して人間力を高める。「デイゴラグビースクール」のスタイルを信じて、応援しております。


元女子セブンズ日本代表S&Cコーチ
ARUKAS QUEEN KUMAGAYAヘッドコーチ
宮崎 善幸様

デイゴ ラグビースクール設立に寄せて

この度はラグビースクール設立おめでとうございます。銘苅信吾君は、私が名護高校ラグビー部監督時代の部員で、3年次には主将に任命し、多くの部員をまとめ県大会6連覇し全国大会(花園)へと導いてくれました。当時から彼のリーダー性、部員から信頼される人間性は高く評価していました。その後、国際武道大学へ進学、選手としても活躍し卒業後は、ワセダクラブでコーチ学を学び、早稲田大学ラグビー部専属コーチを6年勤め立派な青年指導者となりました。かつての私と同じ指導者の道を歩むことは実に感慨深いものがあります。そして彼がラグビースクールを設立する今、私が沖縄県ラグビー協会会長でいることは天の配剤のように感じられます。設立当初は経営や渉外など困難も多いかもしれませんが、沖縄県ラグビー競技の普及と発展の為に大きく成長することを願っています。私としてもできる限りの協力、支援をしていくつもりです。

さて、沖縄県のラグビー事情を顧みると、近年では競技人口の減少が深刻化しています。デイゴ ラグビースクールは、そこに一石を投じてくれることを期待しています。しかし、ただ生徒を増やせば良いというものでもありません。最も大切なことはラグビーを通じての人間教育だと思います。彼にもこのことを教えてきたつもりです。名門早稲田大学ラグビー部でコーチとして6年も勤めてきた実績は、高い技術指導と同時にラグビーの楽しさを伝えること、ひいては子どもたちの人格の陶冶にも努めることができると確信しています。そして将来的には高校、大学、トップリーグ、日本代表はもとより、その他のスポーツや企業人などいろいろな組織で、デイゴ ラグビースクールで育った子供たちがリーダーとして活躍してくれることを期待しております。改めて、スクール設立おめでとうございます。今後のご発展を心よりお祈り申し上げます。


沖縄県ラグビー協会会長
宮城 博様

「師となる若者の帰郷」

沖縄に、琉球に、名護に、桜が咲いた。ラグビーの桜、ラグビーという人間の桜が。まだ先だろう。花が開くのは。いま始まるところなのだから。違う。咲いた。そして、いつまでも散らない。銘苅信吾がいるからだ。人生に「師」は欠かせない。親族、先生だけでなく、毎日の生活や学校とは少し離れた場所にいる師が。ラグビーと真剣に取り組むことで、自分の個性、自分らしさのよいところがさらに引き出される。いままでできなかったこともできるようになる。できないことがあっても他のことでおぎなえるのだと知る。速くなる。強くなる。その喜び。速くないけれど、よく先を読んで動いたら通用した。力はそんなに強くなくても、苦しいときに粘れたら仲間を助けられる。そのうれしさ。よき師なら「ひとりひとり」を支えて、背中を押し、そこまで導いてくれる。

グラウンドの真ん中に銘苅信吾が立っている。ひとりひとりを待っている。そこに参加できる者は幸せである。本当です。

ここからは仲間の呼び方で、シンゴは、名護高校の校庭で、ラグビーの試合は技術や体力だけでは勝てない、人間の普段の心構えや態度が必ず反映されるのだとわかった。国際武道大学のグラウンドでは、リーダーとして、自分の頭で考え、仲間とチームを統率した。ワセダクラブの指導者になって、子どもの心の豊かさ、限りない将来性をつかまえた。早稲田大学コーチの歳月により、先端の戦術戦法やトレーニング法を学びながら、なお昔からの教えのよさを捨てずに融合させる方法、高校の一流選手にも、大学からラグビーを始めた初心者にも、ともに広い可能性があるのだという確信を得た。

それらの経験は、ただ積み上がったのではなく、シンゴという人格のもともとの鋭さ、優しさ、たくましさの奥のほうで自然に溶け合っている。日本一をめざした早稲田のヘッドコーチ時代と同じように、すでに名護高校の新人部員のころに「ラグビーとは人間そのものなのだ」と気づいていたのである。

これまで、さまざまなスポーツのコーチング、指導を目にしてきた。そこにある人格を尊重し、ひとりひとりを愛しながら、理論の研究や練習法の更新を怠らず、楽しいのに楽しいだけでは終わらせず勝負の深さを教えられる者は、めったにいない。

先人が無よりここまで築き、ひとつずつ地層が重なり、沖縄にラグビーは確かにある。そこに若きコーチが、若いのにたくさんの経験とともに、戻ってきた。だれもがいつか老人になる。生まれ育ち働いた土地で、大昔の自分みたいな子どもが楕円球にしがみついている。旧友とそれを眺める。孫の年代のタックルを肴に泡盛を愉快に飲み干す。そんな未来へつながる「場」ができる。みんな、ついてるぞ。


スポーツライター
藤島 大様

ラグビーは、球技の中でも最も多くのプレイヤーたちが入り乱れ、かつコンタクト(接触)局面を伴いながら、シンプルにボールを相手陣地に運び込むスポーツです。このような競技の特性上、ラグビーには、人間を成長させる強い力が間違いなく潜在しています。

「ラグビーは少年をいち早く大人にし、大人に永遠の少年の魂を抱かせる」

ラグビー・フランス代表元主将、ジャン・ピエール・リーブの有名な言葉です。ここ名護の地においても、宮城博先生をはじめとした諸先輩方の尽力により、正にこの言葉を実践するように、多くの人間たちがラグビーを通じて“生きる力”を獲得しています。銘苅君もその一人です。

しかしながら、この国のラグビーの未来は、極めて危うく、かつ不透明なものであります。2019年にワールドカップ日本開催を迎えるものの、若年層におけるラグビー人口はいっこうに増える兆しはありません。こうした状況は地方に行けば行くほど顕著であり。ここ沖縄県でも全国大会予選に単独チームで参加できるチーム数は、数えるほどです。このままでは、この国からラグビーが埋没してしまうことも充分にあり得ます。そのことは、未来の子どもたちから、ラグビーという素晴らしいスポーツを通じて、強い人間に成長するチャンスを奪うことを意味しています。

現状を打破するためには、とにかくラグビーの普及環境改善に着手し、その活動を継続していかなければなりません。それは、決して華々しいものである必要はなく、規模は小さくとも、見た目は汚くとも、子どもたちが成長できるためのしっかりとした土台を作り上げることで、やがて花が咲き、大きな果実をもたらすことに繋がるはずです。

銘苅君は、「ワセダ」での経験を通じて、それをやり続けることができるだけの辛抱強さを積み上げてきたと信じています。但し、彼一人でこれを成し遂げることは、到底できません。多くの方々の理解と協力があってこそ、実現が可能となります。

皆さまのご支援を心よりお願い申し上げます。


早稲田大学ラグビー部元監督
後藤様